「臥薪嘗胆」や「矛盾」のように、中国の歴史上の出来事や人物のエピソードがもとになって、今も日本語の慣用句・四字熟語として使われている言葉があります。 国語や漢文のテスト対策として、由来となった時代とあわせて覚えておきましょう。
故事成語とは、昔の出来事や人物のエピソード(故事)がもとになってできた熟語・慣用句のことです。中国の古典(『史記』『韓非子』『孟子』など)に記された歴史上の事件や逸話が由来となっているものが多く、単なる四字熟語と違って、背景にある具体的な物語を知ることで意味を忘れにくくなるという特徴があります。
日本の国語や漢文の授業・入試では、意味だけでなく由来となった故事(誰が、いつ、何をした話か)まで問われることが多いため、 下の一覧では熟語・意味に加えて、由来となった時代や出来事もあわせて確認できるようにしています。
目的を達成するために、苦労を耐え忍ぶこと。
呉に敗れた越王勾践が屈辱を忘れぬよう苦い肝を嘗め続け、呉王夫差もまた薪の上に寝て復讐を誓ったという、呉越の抗争にまつわる故事。
呉越の抗争を年表で読む →周囲を敵に囲まれ、味方のいない孤立無援の状態。
楚漢戦争の末、垓下で漢軍に包囲された項羽が、四方から聞こえる楚の歌声に「楚はすでに漢に降ったのか」と絶望したという故事。
項羽のページを読む →欠けたところがまったくないこと。
趙の家臣藺相如が、秦に奪われかけた宝玉「和氏の璧」を、傷つけることなく(完璧に)趙へ持ち帰ったという故事。
話や物事のつじつまが合わないこと。
楚の商人が「どんな盾も突き通す矛」と「どんな矛も防ぐ盾」を同時に売り、客に「その矛でその盾を突いたらどうなるか」と問われて答えられなかったという『韓非子』の説話。
多少の違いはあっても、本質的には大差ないこと。
戦場で50歩逃げた兵が、100歩逃げた兵を臆病だと笑ったという『孟子』の説話。
両者が争っている隙に、無関係な第三者が利益を横取りすること。
シギとハマグリが争ううちに、通りかかった漁師が両方とも捕らえてしまったという『戦国策』の説話。
余計な、なくてもよい付け足し。
蛇の絵を早く描く競争で、一番早く描き終えた者が調子に乗って足まで描き足したため負けにされたという楚の故事。
仲の悪い者同士が、同じ場所や境遇に居合わせること。
敵対する呉と越の人間でも、同じ舟が嵐に遭えば互いに助け合う、と説いた兵法書『孫子』の一節に由来。
退路を断ち、全力で事にあたる決死の覚悟。
漢の武将韓信が、わざと川を背にして布陣し、兵に「退けば死ぬのみ」という決死の覚悟をさせて趙の大軍を打ち破ったという故事。
苦労して勉学に励んだ成果。「蛍雪時代」の語源。
貧しくて灯油が買えなかった車胤は蛍の光で、孫康は雪明かりで、それぞれ夜も書を読んだという故事。
たとえ愛する者でも、規律を守るために私情を捨てて処罰すること。
諸葛亮が、命令に背いて大敗を招いた愛弟子の武将馬謖を、涙をのんで処刑したという故事。
実力を発揮する機会に恵まれず、時を無駄に過ごすことを嘆くこと。
不遇の時代を送っていた劉備が、久しく馬に乗らず腿に肉がついたことに気づき、功を立てられぬまま歳月が過ぎることを嘆いたという故事。
実際には起こりえないことを、あれこれ心配すること。
杞の国のある人が「天が崩れ落ちてきたらどうしよう」と本気で心配し、夜も眠れなくなったという『列子』の説話。
人生の幸不幸は予測しがたく、簡単に喜んだり悲しんだりできないということ。
国境の老人(塞翁)の馬が逃げたり、駿馬を連れて戻ってきたり、息子が落馬して足を折ったり、そのおかげで戦争を免れたりと、禍福が二転三転したという『淮南子』の説話。
余計な力添えが、かえって物事を悪くすること。
苗の生長が遅いのを気にした宋の農夫が、苗を引っ張って伸ばそうとし、かえって枯らしてしまったという『孟子』の説話。
それぞれの故事成語が生まれた時代の全体像は、年表や人物一覧からたどれます。あわせて確認してみてください。