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中国の四大名著とは?

『三国志演義さんごくしぎえん』『水滸伝すいこでん』『西遊記さいゆうき』『紅楼夢こうろうむ』の四つは、中国文学史上最高峰の長編小説として「四大名著(四大古典小説)」と呼ばれる。もとは『金瓶梅きんぺいばい』を加えた「四大奇書」という括りが先に成立していたが、近代以降『紅楼夢』がこれに取って代わり、現在の四大名著の顔ぶれが定着した。三国志演義・水滸伝・西遊記は口承の講談を土台に長い年月をかけて完成した集団的な作品であるのに対し、紅楼夢は作者曹雪芹そうせつきん個人の創作である点が大きく異なる。

『三国志演義』1
1591年刊・明代の『三国志演義』に描かれた「桃園の誓い」(北京大学図書館蔵) / Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
『三国志演義さんごくしぎえん』成立: 元末〜明初(14世紀)/舞台: 後漢末〜三国時代(2〜3世紀)

作者: 羅貫中らかんちゅう(伝)

後漢末の混乱から魏ぎ・呉ご・蜀しょくが覇を競った三国時代を描いた長編小説。劉備りゅうび・関羽かんう・張飛ちょうひが義兄弟の契りを結ぶ「桃園の誓い」の場面から物語は始まり、諸葛亮しょかつりょうの知略、赤壁せきへきの戦いなど数々の名場面で知られる。正史『三国志』を土台に民間伝承や講談を取り込みながら発展し、日本でも吉川英治よしかわえいじの翻案『三国志』などを通じて絶大な人気を誇る。

『水滸伝』2
『水滸伝』の豪傑・武松を描いた19世紀の壁画(北京・頤和園長廊) / Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
『水滸伝すいこでん』成立: 元末〜明初(14世紀)/舞台: 北宋末(12世紀)

作者: 施耐庵したいあん(伝)

腐敗した官吏に追われ、あるいは自ら世を捨てた108人の好漢たちが梁山泊りょうざんぱくに集い、義賊として朝廷に立ち向かう物語。武松ぶしょうが素手で虎を退治する場面や、魯智深ろちしんの豪快な立ち回りなど、個性豊かな豪傑たちの活躍が読みどころ。日本でも柴田錬三郎しばたれんざぶろうや北方謙三きたかたけんぞうによる翻案が広く読まれている。

『西遊記』3
現存する最古の版とされる1592年刊・南京「世徳堂」版『西遊記』の挿絵 / Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
『西遊記さいゆうき』成立: 明代(16世紀)/舞台: 唐代(7世紀)

作者: 呉承恩ごしょうおん(伝)

唐僧三蔵法師さんぞうほうしが孫悟空・猪八戒・沙悟浄を供にインドへ経典を求める旅を描いた奇想天外な物語。モデルとなったのは、実際に国禁を破ってインドへ渡った唐代の僧玄奘げんじょうの旅である。妖怪変化との戦いをユーモラスに描く展開は、日本でも『西遊記さいゆうき』のドラマ化やアニメ化を通じて古くから親しまれている。

『紅楼夢』4
『紅楼夢』の名場面を描いた石造レリーフ(北京郊外) / 写真: klarititemplateshop / Wikimedia Commons, CC BY 2.0
『紅楼夢こうろうむ』成立: 清代(18世紀)/舞台: 清代(18世紀)

作者: 曹雪芹そうせつきん

没落してゆく貴族の名家・賈家を舞台に、病弱な貴公子賈宝玉かほうぎょくと、いとこの林黛玉りんたいぎょく・薛宝釵せつほうさいらとの恋愛模様を、清代の貴族社会の栄華と衰退とともに描いた大作。他の三作と違い後世の講談ではなく作者自身の創作による純文学的な性格が強く、精緻な人物描写と細部にわたる生活描写から中国古典文学の最高峰とも評される。作者の死により未完のまま伝わり、後半部分の成立には現在も議論が続く。

四大名著を翻案した日本人小説家は「小説家一覧」ページに、これらの物語のモデルとなった史実は年表・人物一覧でたどれます。