中国神話における代表的な始祖抗争の伝承で、黄帝こうていが異民族の首長とされる蚩尤しゆうを涿鹿たくろくの地で破ったと伝えられる。この戦いの記述は後代の文献にまとめられたものであり、史実として確定できるものではないが、中国古代における部族連合の形成過程を反映した伝承と見る研究者もいる。黄帝は勝利の後、周辺諸部族を糾合した伝説的な始祖として位置づけられ、後世「炎黄子孫えんこうしそん」という言葉に象徴されるように漢民族共通の祖として神格化されていった。現在も陝西省などに黄帝を祀る陵墓・廟が伝わり、今日まで祭祀の対象となっている。