中国最古の王朝とされる夏は、黄河の大洪水を治める治水事業を成功させた禹への信頼を背景に成立したと伝えられる。禹は舜から禅譲を受けて即位したとされ、その後自らの子である啓に位を継がせたことで、それまでの禅譲の慣習に代わり世襲による王位継承の先例を開いたとされる。夏の実在については長らく議論があったが、河南省の二里頭遺跡など考古学的調査の進展により、この時期に相当する高度な文明の存在が明らかになりつつある。ただし「夏」という王朝名や系譜が同時代文字史料で確認されているわけではなく、なお検討が続く分野である。