春秋時代の思想家・教育者。『論語』に残る言行録は東アジアの思想史に絶大な影響を与えた。
魯国に生まれた孔子は、若くして礼を学び、諸国を遊説して自らの理想とする政治を説いて回ったが、生前にそれが用いられることはなかった。晩年は郷里に戻り、弟子の教育と古典の整理に専念したと伝えられる。血縁や身分によらず学ぶ意志のある者を分け隔てなく受け入れたその教育姿勢は「有教無類」と呼ばれ、後世の教育観に大きな影響を残した。
孔子自身は書物を著さなかったが、弟子たちが師の言行を記録した『論語』は、仁・礼・孝といった徳目を中心に据えた思想として後世に伝わり、漢代以降は国家の統治理念そのものにまで組み込まれていった。その教えは中国国内にとどまらず、日本・朝鮮半島・ベトナムなど東アジア全域の政治・教育・家族観にまで及び、没後二千年以上を経た現在も各地の孔子廟で祭祀が続けられている。